K-popの売上記事では、性質の違う数字が並べられがちです。誤った比較を避ける最短ルートは、「どのチャート」「いつからいつまで」「どの形態を含むか」の3点を確認することです。

集計主体は2つあり、測っているものが違います

英語圏のK-pop報道に出てくるアルバムの数字は、ほとんどが2つの機関のどちらかに由来します。両者は同じものを別々に推計している競合ではありません。アルバムの一生のうち、違う瞬間を測っています。

HANTEOはレジで起きたことを数えます。同チャートの説明によれば、世界1,500店舗以上のレコードショップと直接連携し、販売が発生した時点でリアルタイムに実売を集計します。加盟店網(HANTEO FAMILY)が販売データを送る仕組みで、数字の性格としてはPOS実売に最も近いものです。つまり「HANTEO加盟店で誰かが購入を完了した」ことを意味します。

Circle Chartは業界公式チャートで、韓国音楽コンテンツ協会が文化体育観光部とともに運営しています。2010年2月にGaon Chartとして始まり、2022年7月にCircle Chartへ改称しました。そのAlbum Chartは、Wikipediaの解説を含めて広く、消費者の購入実績ではなく出荷量、すなわちレーベルや流通から小売へ渡った数量(返品を差し引いたもの)に基づくと説明されています。

混乱のほとんどはこの一点から生じます。同じアルバムを近い期間で見た場合、Circle Album Chartの数字がHANTEOの数字を上回るのが通常なのも、この違いによるものです。どちらかが間違っているわけではなく、答えている問いが違うのです。

出荷と実売の違い

出荷ベースの「アルバム売上」の見出しは、ファンが1枚も買わなくても動くことがあります。流通が小売チャネルへ大量に在庫を入れれば出荷として計上され、追加補充も同様です。その在庫が売れ残った場合、修正は返品として反映されるのであって、最初の見出しが撤回されるわけではありません。

これは欠陥ではなく、流通チャートとして意図された設計です。業界がどれだけの量を動かしているかを示す指標として正当なものです。ただしそれは、供給とレーベルの見込みについての証拠であって、何人がその作品を所有しているかの証拠ではありません。Circleは別途Retail Album Chartも公開しており、「消費者が買ったか」を知りたい場合はそちらを参照します。

形態の範囲も重なって効いてきます。Circleの公開レポートを見ると、Album ChartはCD、Weverseアルバムのようなプラットフォーム版、LPなど複数形態を合算できる一方、Retail Album Chartは別建てで集計されていることが分かります。同じアルバムについてCircleが出した2つの数字が、どちらも正しいまま大きく食い違うのは、含む形態が違うからです。

「初週」は思っている週とは限りません

韓国語の「초동」は、HANTEOが英語で Initial Chodong と表記する、発売日から7日間の集計です。HANTEO側の記事でも仕組みは明快で、3月11日発売の作品について初動期間を3月11日〜3月17日と示しています。

ここで重要なのは、それが何ではないかです。月曜〜日曜のチャート週ではありません。他のチャートの集計カレンダーとも揃っていません。起点が発売日である7日間の窓なので、発売曜日が違う2作品は、初週に含まれる週末日数が異なります。実店舗の販売は平日と週末で動きが違うため、この差は無視できません。

累計は、より長い明示された期間の合計です。通常は初動より大きくなりますが、チャート、対象範囲、基準日が明示されて初めて意味を持ちます。HANTEOの1か月累計はCircleの数字ではなく、言い換えて使うことはできません。

予約注文数はさらに別の主張です。事務所が発表する数字は、告知の書き方によって小売店の発注か、消費者の予約かが変わります。しかも明示されないことも珍しくありません。キャンセル、出荷時期、チャート対象条件が、予約発表と実際のチャート数値のあいだに入ります。予約数は需要の見込みであり、販売の記録ではありません。

繰り返し起きる読み違い

  • HANTEOの初週とCircleの1か月を比べ、その差を「伸び」として提示する。
  • Circle Album Chartの数字を「ファンがX枚買った」と読む。
  • 予約注文数を初週実売として扱う。
  • 全形態合算の数字と単一形態の数字を比べる。
  • 集計元を書かずに「歴代最多」と書く。HANTEOとCircleは開始時期も対象範囲も異なり、片方の歴史のなかの「歴代」は「歴代」ではありません。
  • チャート名も期間もリンクもない、ファン制作画像の数字を引用する。

自分で確認する手順

一次情報にあたります。HANTEOはhanteochart.com、Circleはcirclechart.krで、定期レポートを含めて公開しています。数字を引用する前に確認したいのは、チャート名(Album ChartかRetail Album Chartかは決定的です)、選択している期間、対象日付、そして表示されている数値が期間合計なのか累計なのか、の4点です。

記録として書くなら、アーティスト、作品名、枚数、チャート名、7日間の日付、全形態合算かどうかを明記します。累計なら基準日も添えます。それらを揃えられない場合は、「どこがそう報じたか」を示す形にするのが誠実な書き方です。